三月末はけっこう乱高下することも多い
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■ 記事
国内株式市場見通し:リバウンド一服、米雇用統計や金利動向を注視
フィスコ
3/26 14:56 配信
■6年ぶり円安や需給改善で急速リバウンド
今週の日経平均は週間で1322.41円高(+4.93%)と大幅続伸。週足のローソク足は2週連続で大きな陽線を形成。13週、26週移動平均線を一気に回復した。
祝日明け22日の日経平均は396.68円高と前週からの続伸劇を継続。パウエル連邦準備理事会(FRB)議長がインフレ抑制のため大幅な利上げも辞さない姿勢を示したことで、為替が2016年以来6年ぶりに1ドル=120円台まで円安・ドル高が進展。円安による輸出企業の採算改善期待のほか、香港ハンセン指数の上昇を追い風に上値を伸ばした。
23日は816.05円高と急伸。75日線や13週線など次々にテクニカルな節目を上抜いたことで、売り方の買い戻しに弾みがついた。また、月末にかけての年金基金のリバランス(資産配分の再調整)目的の買いや機関投資家の配当再投資などを背景とした需給環境の改善期待も支援要因となった。
24日は70.23円高と小幅ながら続伸。前日の急伸の反動で下落して始まったものの、引き続き円安・ドル高基調や月末にかけての需給環境の改善が下支え要因となるなか、香港ハンセン指数の下げ渋りも寄与し、日経平均は75日線を下値支持線とした底堅い動きとなった。
週末25日も39.45円高と小幅ながら続伸。原油先物相場の反落や労働市場の改善を受けた景気回復期待、金利上昇の一服などを背景に、前の日の米株市場で主要株価指数が揃って大きく上昇したことが追い風となった。ただ、日経平均は前日までの連騰劇の反動も意識され、朝方に28338.81円まで上伸した後は騰勢が一服。後場には一時28000円を割れる場面もあった。それでも、強烈なリバウンドを見せてきただけに、下値の堅さも意識され、下げ渋ると再びプラス圏に浮上した。
日経平均は9日続伸と、2019年9月3-17日以来の連騰記録を見せた。
■米雇用統計や景気・物価指標に注目
来週の日経平均はもみ合いか。需給環境の改善を背景とした急速なリバウンドは一服し、週末の米雇用統計を控えるなか、こう着感の強い展開となりそうだ。日経平均は3月11日からの約2週間で一気に3000円程も上昇した。月末、四半期末に向けた年金基金のリバランス買いや、配当権利取り、機関投資家の配当再投資を見越した先回り買いなどを背景に、需給環境の改善が後押ししたようだ。
しかし、こうした良好な需給環境も、29日の権利付き最終日を境に一巡してくる。また、米株市場に特に当てはまるが、急速なリバウンド局面においての出来高は少なく、上昇の主体はほとんど短期筋によるものと思われる。そのため、月替わり前後のタイミングからは再び調整リスクが高まるとも考えられ、ウクライナ情勢などの動向には注意が必要だろう。
3月の連邦公開市場委員会(FOMC)後、多くのFRB高官から、複数会合での0.5ptの大幅利上げも辞さない姿勢が相次いで示されている。
同時に、次回5月会合でのバランスシート縮小(QT)開始の公算も高くなってきており、その縮小ペースも前回に比べて「かなり早い」ものが想定されている。0.5ptの利上げを実施しつつ、同時にQTも進行させるというのは異例の引き締めプロセスだ。大量に溢れた緩和マネーが今まで相場を下支えてきたことを踏まえれば、QTの影響には注意が必要だろう。週末には米3月雇用統計を控えており、結果を見極めたいとの思惑が、相場の一段の上値追いを躊躇させそうだ。
相場はウクライナ情勢に関して反応が乏しくなってきたが、依然として油断は禁物だ。ロシアによる化学兵器などの使用可能性が警告されており、仮に実際に使用されれば、欧米諸国は一段と経済制裁を強化する方針。一方、ロシアのプーチン大統領は欧州諸国に燃料の購入にルーブルでの支払いを要請し、ルーブルでの支払いがなければ、即座に供給を停止するとも警告している。欧州のロシアへの燃料依存度は非常に高く、仮に供給停止となると、足元再び強含みで推移している燃料価格の急騰につながりかねないため留意したい。
そのほか、米国で発表される住宅価格や消費者センチメント、景況関連の指標にも注目だ。足元でスタグフレーション(物価高と景気後退の併存)リスクが懸念されるなか、直近、欧米諸国で発表されている経済指標では一部で既にそうした兆候が見られ始めている。こうした懸念を一段と裏付けるような内容となれば、景気敏感株を中心に下押し圧力となるため、内容を見極めたい。
■グロース株は上値の重さ残ろう
今週末に米金利は一段と上昇してきており、米雇用統計前にグロース(成長)株の上値を抑えそうだ。商社や海運など株主還元に積極的な銘柄は、権利付き最終売買日前後の動きが激しくなりそうだが、ウクライナ情勢の問題が長期化するなか、押し目買い意欲は続きそうだ。
■米PCEデフレーター、米ISM製造業景気指数など
来週は29日に日銀金融政策決定会合の主な意見(3月開催分)、2月有効求人倍率、米1月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米3月消費者信頼感指数、30日に米3月ADP全米雇用統計、31日に2月鉱工業生産、2月住宅着工統計、中国3月製造業PMI、米2月個人所得・支出・PCEデフレーター、
4月1日に3月日銀短観、中国3月財新製造業PMI、米3月ISM製造業景気指数、
米3月雇用統計などが発表予定。
《FA》
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