225 戦記

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ニュース 烏露戦争終結? 爆騰?

急いでるのに記事が長い!


2年間負け続けの軍総司令官更迭 

戦局というか大局の変化、半数とも言われる武器の横流し終了?

ウクライナ戦争終結かもしれない

 

戦争が終われば 

  インフレ終了  金利下落  株式爆上げ  売り玉玉砕  だが…

 

用事終わってチャート開くと再度 38000  …  ロスカットだなー

 


■ 記事


「兵士の命優先」で解任されたウクライナ軍総司令官 侵攻から丸2年、ウクライナ大統領が思い知った現実
吉田 成之 によるストーリー • 7 時間

 

ロシアによるウクライナ侵攻から満2年を間近に控えた2024年2月上旬、ゼレンスキー大統領が大きな決断を下した。ワレリー・ザルジニー・ウクライナ軍総司令官の解任だ。ここでは、この解任の背景だけでなく、今回の侵攻が持つ戦争史的な意味も考えてみた。

ザルジニー氏解任と、後任にオレクサンドル・シルスキー陸軍司令官を充てる今回の軍トップ人事は異例な形で発表された。この種の重要発表は昼間に行われるのが通例だが、キーウ時間の2月8日夕方に、人事に関する大統領令をゼレンスキー氏が公表したのだ。なぜか。


大統領との「不仲説」を否定


人事発表に当たり、ウクライナ政府が非常に気にしていたのは、ワシントンの反応だったからだ。解任自体は事前に報道もあり、予期されていた事ではある。しかし、発表時間はアメリカ東部時間では2月8日昼に当たる。
当局者がオフィスにいる時間帯に入念に準備した一連の声明文を出し、読んでもらうことで、総司令官解任というショッキングな展開への先行き不安感を払拭し、アメリカ政府や議会の理解を得たいとの思惑があった。

とくにアメリカ議会では、キーウにとって緊急に必要なウクライナへの支援を含む予算案の審議が共和党の反対で難航している最中であり、アメリカの軍事支援に反対する意見が増える事態を避けたいところだった。


さらに声明文には、ゼレンスキー政権のもう1つの狙いが込められていた。今回の解任について、国民に人気の高いザルジニー氏が将来の大統領選で政治的ライバルになることを恐れてゼレンスキー氏が排除した、との内外での一部観測を否定することだ。

こうした観測が出た背景には、ザルジニー氏への国民の期待感の高まりがある。2023年6月に始まった反攻作戦が不発に終わったものの、それでもザルジニー氏の人気は高まった。その理由の1つが西側流の軍事教育を身に付けた同氏の近代的作戦指揮だ。

50歳のザルジニー氏は、旧ソ連からウクライナが独立した後に軍事教育を受けた世代出身だ。北大西洋条約機構NATO)に派遣され、西側の軍事訓練を受けた留学組の第1期生となる。兵士の犠牲を極力少なくしようとする流儀が兵士本人や兵士家族から支持されていた。

もう1つの要因は、明るい人柄。周囲からの人望があった。2023年12月、国際社会学研究所(キーウ)による世論調査では、ザルジニー氏を「信頼する」との回答が88%に上った。一方でゼレンスキー氏を「信頼する」は62%で、2022年末の84%から大幅に下落したという。

 


反攻作戦の立て直しが理由


しかし実際は、ゼレンスキー政権にとってザルジニー氏解任は反攻作戦の立て直し、という純軍事的目的だった。声明でも大統領はこの説明に心を砕いた。

曰く「これは名前の問題でも、国内政治の問題でもない。軍のシステムやウクライナ軍の管理の問題である。ザルジニー氏との率直な意見交換の結果、緊急の変更が必要との意見で一致した」と強調した。

元々、大統領とザルジニー氏との間には2023年秋から信頼関係に亀裂が走っていた。2023年6月に始めた反攻作戦は当初の目標を実現できないまま難航した。

おまけに、2023年11月初めにイギリス『エコノミスト』誌とのインタビューで、ザルジニー氏が戦況について第1次世界大戦のような「陣地戦」に陥り、膠着状態に陥っているとの見解を表明したからだ。この見解に対し、ゼレンスキー氏は「膠着状態ではない」と否定してみせて、周囲を驚かせた。


この時期、クリミアでの黒海艦隊に対する攻撃や黒海での穀物輸出ルートの確保など、ようやく反攻が局地的に動き始めた矢先だった。東部や南部での反攻地上作戦が思うように進まない中、ゼレンスキー氏としてはこうした黒海での進展を政治的にも反攻の成果として内外に誇示したいところだった。

それなのに軍トップのザルジニー氏が大統領の立場にお構いなしに「膠着状態」と言い切ったことが不満だったようだ。2023年末には、記者会見で大統領は東部や南部での地上作戦が難航しているのはザルジニー氏と参謀本部の責任だと言い切るまでになっていた。

もちろん、筆者がこれまで再三指摘したように、反攻難渋の最大の要因はF16戦闘機などの供与をバイデン政権が渋ったことだ。だが、その裏でキーウはウクライナ軍の作戦にも問題があったとして、ザルジニー氏の総司令官としての能力に見切りを付け始めたのだ。

表に出ていないが、政府高官からは「明るくて人柄は良いが、総司令官としては無能だ」と吐き捨てる意見も出ていた。

さらに、歩兵部隊・戦車部隊・砲兵部隊・ヘリコプター部隊など異なる兵科部隊を単一の命令系統に組み込んで戦う「諸兵科連合作戦を彼はついにうまく実行できなかった」との批判も出ていた。

 


ウクライナ軍「戦略的防衛」からの脱却


しかし、今回の解任劇は単にザルジニー氏個人の総司令官としての能力、適性を巡る問題ではなかった。ウクライナ政府にとって、2024年の戦局全体にかかわる非常に重大な判断が背景にあったのだ。

ゼレンスキー大統領としては、ロシア軍の攻勢に耐え、現在の戦線を守って維持する、いわいる「戦略的防衛」のみで2024年を終える気持ちはない。

筆者は前回の「バイデンの存在薄くなる3年目のウクライナ戦争」(2024年1月30日付)で、「外交面でゼレンスキー政権の最大の目標は、2024年7月のワシントンでのNATO首脳会議で、ウクライナとの間でNATO加盟交渉に入ることが決まることだ」と書いた。


大統領としては、このサミットに向けウクライナ軍が攻勢を展開し大きな成果を上げることを目指しているのだ。ウクライナ軍の反攻能力健在を誇示、NATO加盟交渉入りの合意達成に向け弾みをつける政治的効果を狙っている。

しかしキーウの軍事筋によると、驚くべきことが起きた。2024年1月末、軍総司令官としてこの攻勢を指揮することにザルジニー氏は消極的態度を示したという。西側からの武器が揃うまでは、戦争はできないと主張した。

これが今回の解任の最終的引き金になったのだ。この春には、ウクライナ軍待望の戦闘機F16の第1陣が到着する見込みだが、武器がいつ揃うのかは不明だ。大統領としては、到着前であっても攻勢を開始することは可能とみている。

2024年のウクライナ軍の戦略を巡っては、アメリカ政府がウクライナに対し、防御専念を求めていると一部アメリカのメディアが報道している。しかし、軍事筋はこれに関連して「そもそもバイデン政権も攻勢に出ること自体には反対していない」と強調する。

しかしザルジニー氏は、いたずらに攻勢に出れば戦死者が増えることに懸念を示した。このため、ゼレンスキー政権として「今年戦争をできる司令官を採用した」という。

冒頭に記したように、大統領はシルスキー陸軍司令官を新たな総司令官に任命したが、このシルスキー氏こそ「今年の戦争ができる司令官」なのだ。

 


「今年の戦争ができる司令官」


同氏は58歳。ソ連時代に軍事教育を受け、西側への留学経験もない旧ソ連軍色の濃い司令官だ。2022年秋にウクライナ軍は東北部ハリコフ州の要衝イジュムを奇襲によってあっという間に陥落させたが、この巧みな作戦を指揮したのが東部を仕切る司令官のシルスキー氏だった。


一方で2023年の東部要衝バフムトを巡る激戦では、ウクライナ軍側に多数の戦死者を出すことを厭わなかったとして部下から批判が出た。戦死者を出すことを嫌がるザルジニー氏とは対照的だ。

多くの戦死者を出してもゼレンスキー大統領の命令を黙々とこなそうとする姿勢は旧ソ連軍幹部を彷彿とさせる行動である。

そもそもウクライナ軍のソ連軍的体質からの脱却を目指して、西側的司令官であるザルジニー氏を総司令官に任命したのはゼレンスキー氏だ。先述したように、大統領とすり合わせもせずに「膠着」発言をしたことが象徴するように、思ったことをズケズケ発言する行動パターンも元々許容していた。


だが、ロシア軍との戦争で2年が経過する中、ロシア軍との戦争で求められる軍指導者像について、ゼレンスキー氏は非常に重い結論に達したのではないか、と考える。

つまり、戦死を承知の「捨て駒」として受刑者出身の突撃部隊を最前面に押し出して、波状的に攻撃を繰り返す非人道的なロシア軍と戦い勝つためには、ザルジニー氏的な兵士の生命優先論では対抗できないと悟ったのではないだろうか。

もちろん、シルスキー氏が総司令官として兵士の命を粗末に扱うと言い切るのは公平ではないだろう。しかし、ザルジニー氏と比べれば、戦果優先の側面が強くなる可能性は高いだろう。

こうしたゼレンスキー氏の変身を批判する向きもあるだろう。しかし、自軍の戦死傷者数が30万人以上に達したともいわれる残酷なプーチン・ロシア軍に対抗するには、やむをえない判断だったと考える。

これが3年目に入るウクライナ侵攻の現実なのだ。目を背けることなく、しっかりと直視すべきだ。